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信号処理装置

 

Signal Processing

電波天文学のトータルシステムを支える信号処理系

 冷却受信機をはじめとする受信機のフロントエンド部の他に、受信システムを構築する上で欠かすことのできない伝送系や、バックエンド機器であるアナログ信号処理装置やデジタル信号処理装置の設計・製造を行っております。

 電波望遠鏡の受信機トータルシステムを構築するためには、各装置に対して世界最高水準の性能が要求されます。位相特性、周波数特性、雑音特性、温度特性等、様々な要求にお応えするために、社内で設計、製造されている、高性能な高周波コンポーネントを使用して、最高の性能が発揮されるように設計しています。当社の高い技術と、長年にわたり蓄積された経験により、世界屈指の性能を誇る日本の電波望遠鏡の受信システムを支えています。

 当社は特別な性能や機能が要求される装置の受注生産を得意としています。ミリ波からベースバンドまで様々なご要望にお応えいたします。
 市販品で満足のいく製品が見つからない時には是非当社へご相談ください。また、一般品の量産についてもお受けしていますのでご相談ください。


コンバータ

IFコンバータ

 受信機から出力される信号を、各種アナログ処理やデジタル処理が可能な周波数に変換し、広帯域信号を必要なバンドに切り分け、必要なレベルで出力します。
 当社のコンバータは、広い帯域にわたり優れた周波数特性を誇り、低雑音、高い安定性を特長としています。

キーコンポーネント:
ミキサ・アンプ・フィルタ・アッテネータ・スイッチ・カプラ・検波器・ALC回路

【製品の一例】
写真: マルチビーム受信機用 4CH IFコンバーター

マルチビーム受信機用 4CH IFコンバーター

納入実績: 国立天文台 野辺山宇宙電波観測所
  • 4系統を1つの筐体にコンパクトに収容
  • 2~2.6GHzの信号を768MHzへ変換
  • 通過特性の良い32MHz、512MHz幅の帯域フィルタを搭載
  • ALC回路を内蔵
  • GP-IBインターフェース搭載で、外部制御・モニタが可能


ベースバンドコンバータ・ビデオコンバータ

 IFコンバータにより周波数変換され、伝送されてきた信号は、メディアへの記録や最終的な処理を行うためにさらにベースバンドへ変換されます。

 特に測地用電波望遠鏡では、多チャンネル化が要求されるため、省スペース高密度実装が必要となります。

 当社の長年のアナログ技術による、優れたコンバーターを製造しています。

【製品の一例】
写真: MODEL 7648: VLBI ビデオコンバータ

MODEL 7648: VLBI ビデオコンバータ

  • 8チャンネルコンバータとローカル発振器を1筐体にコンパクトにまとめました。
  • 蛍光表示管によるメニュー操作を採用し、従来機より操作性がアップしました。
  • イーサネット(LAN) ポートを搭載しており、TCP/IPを使用して外部よりリモートコントロールすることができます。



信号発生装置

局部発振装置

 電波望遠鏡では高い精度で信号を処理する必要があるため、周波数変換に必要なローカル信号源はとても高性能なものが求められます。
 信号処理に必要とされる信号源の種類は多種にわたっており、それぞれの要求に合わせて出力信号の周波数や、帯域、レベルを計算し、適切な発振器を選択して設計します。
 信号発生装置や発振器は当社の最も得意とする分野の一つでもあり、創業以来蓄積してきたノウハウ、確かな技術により、高性能な製品を作っています。
 当社の信号発生装置は、高い安定性、優れた位相雑音特性、低スプリアスを特長としています。

キーコンポーネント:
PLO、ガン発振器、水晶発振器

【製品の一例】
写真: K/Q BAND ローカル発振器

K/Q BAND ローカル発振器

納入実績: 国立天文台 VERA観測所
  • 内蔵ガン発振器で安定した信号を生成します。
  • 外部基準信号と同期させることにより、高い周波数安定度を確保できます。
  • 内蔵発振器を恒温化しており、高い温度安定度を確保しています。



基準信号発生装置・クロック信号発生器

 電波望遠鏡や高精度観測機器では、各装置感を極めて高精度に同期させる必要があり、そのためには基準となる信号発生装置が必要となります。
 当社では、長年培ってきた技術を応用して極めて高精度な基準信号発生装置を生産しています。
 ルビジウム発振器や安定化された水晶発振器を内蔵し、短期から長期まで高い安定度を誇る装置を製造することが可能です。さらに、GPSやJJY信号、水素メーザー等の基準信号と同期した基準信号源を生成することも可能です。
 当社の基準信号発生装置は局部発振装置の基準信号として使用されたり、デジタル信号に変換してA/Dコンバータの基準クロックや、計算機の基準クロックとして使用されています。

キーコンポーネント:
ルビジウム発振器、水晶発振器、JJY受信機、GPS受信機

【製品の一例】
MODEL 7642B: クロックジェネレータ
CLOCK GENERATOR
写真: MODEL 7642B: CLOCK GENERATOR

  • 25MHz/125MHz/4GHz/8GHz の各信号を出力します。
  • 1PPS 信号を入力すると、25MHz 信号に同期させた 1PPS 信号を出力させることができます。
  • 安定した基準信号(5MHz/10MHz)を入力すると、内蔵 PLL 回路によりさらに高安定化を図ることができます。


MODEL 3550B: 基準信号発生器
REF SIGNAL GENERATOR

  • タイミング信号として 1PPS/LVDS, 48ms/RS-422 の2種類の信号を出力しています。
  • 光受信器を内蔵しており、外部基準信号を同軸の他に光ケーブルで入力することができます。



雑音信号発生装置

 電波望遠鏡で受信される信号は通信用の信号と違い、広帯域な雑音信号です。この雑音信号を受信する受信システムの調整、評価には雑音信号源が必要となります。
 高精度の受信システムを評価するためには、周波数特性や温度特性などを評価対象物より良いものにしなくてはなりません。これらの特性を満足させるため、当社の高周波コンポーネントを用いて高性能な雑音信号発生装置を製造しています。

キーコンポーネント:
雑音信号源、アンプ、フィルタ、イコライザ

【製品の一例】
雑音信号発生装置
NOISE SIGNAL GENERATOR

納入実績: 国立天文台 ALMA推進室
  • 2~12GHzの周波数で、最大8GHz幅の超広帯域雑音信号を出力することができます。
  • 雑音信号源を3つ搭載しており、それぞれの信号の出力比を変化させて合成することにより、さまざまな相関器評価試験を行うことができます。



サンプラー(A/Dコンバータ)

多チャンネルサンプラー

 電波望遠鏡で受信されたアナログ信号をデジタル信号へ変換してデータとして取得する装置がサンプラーです。サンプラーには低ジッタで広帯域な特性と高い動作安定性が必要となります。

【製品の一例】

MODEL 9277: USB3.0 時刻同期型サンプラー

  • アナログ入力を4チャンネル搭載した時刻同期型サンプラーです。
  • 1.2GHzまでアナログ帯域(3dB帯域幅)を持っており、最大サンプリングレートは1chあたり128Mspsです。
  • PCとのインターフェースにUSB3.0を採用しており、最大1024Mbpsのデータ転送が可能です。
  • 広帯域バージョンとして 2Gサンプリングバージョンがあります。

→ MODEL 9277 の製品情報詳細へ




信号伝送

光送受信機

 電波望遠鏡システムでは、信号の位相を高精度に測定することにより観測を行っています。そのため、信号伝送用の同軸ケーブルによる位相変化が大きな障害となります。
 メタルケーブルより位相変化の少ない光ケーブルを使用することにより、高い位相安定度を実現しています。


IF増幅装置

 大規模な受信機システムにおいて、アンプは必需品となっています。
 広帯域、低雑音、ハイパワー出力など、それぞれの要求に応じた製品を設計・生産しております。


ケーブルイコライザ

 広帯域な信号は、ケーブルによる伝送の過程において、ケーブル自身が持つ周波数特性に影響を受けて信号の特性が悪化してしまいます。特に電波望遠鏡システムでは、アンテナから観測局舎までの距離が長いため、大幅に特性が悪化してしまいます。
 ケーブルイコライザは、これらの伝送により劣化した信号特性を補正する目的のために使用されます。


信号分配・合成器

 受信機システムでは、適切に信号を処理するために様々なシーンで分配器や合成器が活躍します。
 特に位相特性、群遅延特性、周波数特性等で高い性能を求められる電波望遠鏡システムにおいて、当社の分配器・合成器は柔軟な信号処理を行う上で欠かせない製品となっています。


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製品情報