電波資産の有効活用
FM同期放送の導入実績
2019年1月末現在
FM同期放送システムについて
同一周波数のFM混信について
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ある瞬間における、FM1信号とFM2信号の混信の状態を左側の図に示します。
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図のような D/U比が十分にある状況の場合、FMの復調ではレベルの高い信号のみを再生することになるので、混信の問題は軽減されます。
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AMと違って、周波数にのみ情報が乗っているFMの強みです。
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一方で左図のようにD/U比が0dB付近となった場合、受信機がFM1とFM2の信号を交互に受信復調してしまい、音が正しく再生されなくなります。
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これは、同一プログラムを受信する ときに、中心周波数に差異がある場合や、音声信号の遅延が影響する遅延差である場合も同様です。
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左図のように信号の周波数偏移がどの瞬間においてもほぼ一致しているのであれば、FM1とFM2の信号を交互に受信復調してしまっても音は違和感なく再生されます。
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これが、FM同期放送において周波数と時間を一致させる必要がある理由です。
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FM信号が同期している状態においては、D/U比 0dBでも復調音声にはあまり影響がありません。
FM同期放送 特許関係
SHP (Super High Precision) ロゴは、
日本通信機の FM同期放送 の登録商標です。
Super High Precision:
超高精度デザインの意。
高精度デジタル回路と設計手法により、アナログレベル換算で 10万分の1 の精度誤差までの製作精度を実現しています。
名称 | 特許番号 | 登録日 |
---|---|---|
同期放送システム、配信装置、送信装置 | 6280077 | 2018/1/26 |
同期放送システム、送信装置 | 6196277 | 2017/8/25 |
同期放送システム、送信装置 | 6100871 | 2017/3/3 |
同期放送システム、配信装置、送信装置 | 6014287 | 2016/9/30 |
FM同期放送用測定器 | 6577646 | 2019/8/30 |
FM同期放送用測定器 | 6577647 | 2019/8/30 |
FM同期放送用測定器 | 6577648 | 2019/8/30 |
FM同期放送用測定器 | 6577650 | 2019/8/30 |
FM中継装置、遅延プロファイル生成方法 | 7113437 | 2022/7/28 |
FM中継装置 | 7113438 | 2022/7/28 |
FM中継装置 | 7097588 | 2022/6/30 |
FM同期放送システムについての考察 【技術資料】
【用語】 D/U比: 希望波 に対する 不要波 の比率。
Desired to Undesired signal ratio.
理想的なFM同期放送の形
FM 2波が干渉するエリアで起こること
- 単一搬送波(ある時間ではひとつの周波数しか存在しない)
- 搬送周波数がベースバンド変調波の内容(変調レベルと繰り返し周波数)に従い、常に変化している(変調により生ずるスペクトラムが変化している)。
(等遅延時間のエリアでは、同一周波数の合成となる。)
理想的な同期放送での課題
- 遅延時間差が無い干渉エリアでは 2つのFM波は重なり合い干渉音は出ない
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D/U = 0dB の干渉ではスペクトラムが打ち消しあい受信できない場合も発生。
(ただし、実際には、空間伝搬では常にレベルが変動しているので打ち消しあう
期間は不定となり、受信機の慣性力に左右されることもある。(受信時間率)
- 遅延時間差が生じる干渉エリアでは FMのスペクトラム同士の干渉により干渉音を発生。
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遅延時間差が大きくなるほど、スペクトラムの干渉が大きくなり、聴感上の品質をあげるためには より大きい干渉D/Uが必要となる。
一般的なFM同期放送の形
同期放送実現のための理想的なデジタル型FM変調器
(何台作っても同じものが作れること)
• 無変調時の出力周波数: | 偏差 ≦ 1Hz |
• 最大周波数偏移量: | 偏差 ≦ 1Hz |
• 平均変調周波数の中心の揺れ量: | 偏差 ≦ 1Hz |
• プリエンファシスの周波数特性偏差: | 偏差 ≦ 0.00dB |
• ステレオ変調パイロット位相差偏差: | 偏差 ≦ 1° |
同期放送実現のための理想的な「全デジタル型FM変調器」
平均周波数変動:無し
温度依存性:無し : |
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AES-EBU 音声入力 |
→ |
DC Offset Cancel プリエン ST変調 完全デジタル処理 |
→ |
デジタル処理型 FM変調 |
→ |
D-A変換 |
→ |
RF出力 |
音声クロック |
↑ 搬送波クロック |
|||||||
↑ | | └――― |
← |
Rb 級 基準信号発振器 10MHz GPS受信機内蔵 |
← |
GPS-ANT |
異なるFM変調器を同期して動作させる手段
- 同期した動作とは?
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変調器に入力される音声信号とそれに従って生成されるステレオ副搬送波並びにステレオパイロット信号を同一のタイミングで動作させること。
- その方法は?
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(1) 従属同期
変調器に入力されるデジタル音声信号のAES/EBUのフレームに同期させる。ただしこのAES/EBU信号のクロック精度は Rb級が必要
(2) 独立同期
外部の高精度の基準タイミング信号(例えばGPSの1pps)にたいしてそれぞれが同期動作を行う。
同期放送の遅延調整について
独立同期方式における 音声伝送同期の概略系統
実際の同期放送ネットワークで起こること(デジタル伝送回線)
- マイクロ伝送回線
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マイクロ波の伝送回線は元来アナログ音声信号を伝送するためのものであるが高品質伝送ということでデジタル化された音声信号を伝送するが、所要帯域の関係からマイクロの伝送機器間(MODEM)では 1/4 圧縮を採用。この伝送回線を通すことで、音声のレベルが 0.1dB 程度変化
これは異なるMODEMではその変化値は異なる。
0.1dB の変化は最大変調度では 750Hz の偏差に相当する。
- IP伝送回線
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音声のIP伝送路網ではIP伝送路の変更による遅延時間の変動や、音声IPコーデックの特性による伝送遅延時間の大きな揺らぎが生ずる。
異なる2地点間への伝送ではこのランダムな揺らぎが2つの受信局で観測される
ことになり、その時間差は 1ms に相当する場合もある。
(同期放送ではフィールドでの受信点の時間差をμs単位で管理する必要がある。)
実際の同期放送ネットワークで起こること(デジタル伝送回線)を解決するために
- マイクロ伝送回線
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各変調器に音声レベル検出機能を設け、回線で送られてくる基準信号 (1.001kHz) のレベルを測定する。
測定したレベルの偏差を計算し 0.0001dB 単位でレベル調整を行い、変調度偏差を 1Hz 以内相当に合わせ込む。(別紙参照)
- IP伝送回線
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IPコーデックの送信側の前と受信側の後部にAES遅延同期装置(当社開発品)を設置。
IP伝送路での遅延揺らぎを計測する。 また各送信所での総合遅延時間 (T0) を決めておき、計測値に瞬時の偏差分を加えて 常に T0 で固定化させる。
当社 AES遅延同期装置(Model 5949T/5949R) 特許番号 2016-072722
変調度・遅延時間設定用 トーン信号発生器 系統図
完全FM同期放送の変形
実際の同期放送ネットワークで起こること(フィールド)
- 静的(安定的)な D/U は存在しない。
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常にお互いの電界が揺れ(マルチパス・反射等)受信点を固定すると
D/U 値は揺れる。即ち、安定的な D/U = 0dB は存在しにくい。
- 動的な D/U = 0dB 地点は強電界(60dBμ以上)が望ましい。
-
弱電界では、D/U = 0dB で2波が打ち消しあう時、受信機のスレッショルド・レベルを下回り、雑音が頻繁に起こる。
- 同期放送の2波の送信偏波が交差する場合
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干渉地帯での受信 D/U ≧ 10dB が得やすい。
FM同期放送 日本通信機 発表論文
「高精度デジタル型FM変調器の開発 - FMラジオ同期放送用FM変調器」
2016 映像情報メディア学会 夏季年次大会
恵良 勝治(*1)、山崎 浩介(*1)、樫尾 朋宏(*2)、岩木 昌三(*2)、貝嶋 誠(*3)、河野 憲治(*3)
(*1) 山口放送株式会社
(*2) 株式会社NHKテクノロジーズ
(*3) 日本通信機株式会社
「IP回線音声伝送における遅延時間揺らぎ抑制装置 - AES/EBU音声同期化装置」
2016 映像情報メディア学会 夏季年次大会
近藤 寿志(*1)、梶田 清志(*1)、樫尾 朋宏(*2)、岩木 昌三(*2)、貝嶋 誠(*3)、河野 憲治(*3)
(*1) 株式会社中国放送
(*2) 株式会社NHKテクノロジーズ
(*3) 日本通信機株式会社
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